吉靴房で靴をオーダーしました

京都のハンドメイド革製品工房吉靴房さんから、オーダーしていた靴が届きました。
別に狙ったワケじゃないんですが、到着したのがちょうど誕生日に近い日で図らずも「自分への誕生日プレゼント」になりました。

こちらがその靴です。

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吉靴房の代表作「単皮(たび)」というモデルです。
ほぼ昔からある地下足袋ベースのSOU・SOU足袋とは異なり、靴に近い要素があります。

現在の「足袋」はもともと鹿等の一枚皮で作った半靴であったため「単皮(たび)」と呼ばれており、後に当て字で現在使われている「足袋」に変わったという説があります。そう考えると足袋の先輩ですね。

足袋(たび) – 語源由来辞典

 

 

SOU・SOUのダブルネームモデルとしても販売されており(内部の焼き印にSOU・SOUの文字が入ります)基本的に白・黒のみでの展開なんですが、ダブルネーム扱いではない方のモデル(焼き印が違うだけで同じもののようです)では内側・外側で色を変える事もできます。今回は外側が白・内側が紺のツートンカラーです。

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SOU・SOU×吉靴房 / SOU・SOU net shop

吉靴房×SOU・SOU / 吉靴房

吉靴房 / 単皮(たび)

こちらは完全受注生産の製品ですので、注文後のキャンセルやサイズ交換ができません。京都にいる方は直接工房に出向いて採寸できると思いますが、他地域ですと難しいかも知れません。
私の場合は代官山・無垢里に展示会で吉靴房の野島さんが来られた際に採寸して頂きました。

靴としてはなかなか高額な買い物になりますので、近くで展示会等があった場合は何とかして行って採寸してもらった方が良いんじゃないかと思います。

オーダーしてから受取までは約2ヶ月くらいでした。もっとも、オーダーの混み具合や内容によって期間は異なってくると思いますので、もっとかかる場合もあると思います。詳しくは吉靴房さんに直接問い合わせたほうが良いと思います。

 

 

 

SOU・SOU(若林株式会社)やCA4LA(有限会社ウィーブトシ)・TENGA(株式会社典雅)なんかもそうなんですが、単純に「自分が良いと思ったもの」「自分が好きなデザインのもの」というだけでなく、その企業の持っている理念だったり指針みたいなものに魅力を感じて、半ば「応援」とか「投資」に近い気持ちで商品を購入する事があります(極端なことを言えば消費とはそういうことなのかも知れませんが)。

自分にとって吉靴房もそんな存在でして「新しい日本の履物文化の基本となるものを作りたい」という理念に共感を覚えて強い興味を持ちました。そんな新たな時代に向けての日本の履物デザインの一つとして「単皮」は制作されたそうで、是非とも一足は欲しいと思っていたのです。

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なお、有料にはなりますが、カカトの交換・ソールの張り替え等もやってくれるそうです。
大事に履けばまさに「一生もの」に近いかもしれませんね。

 

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以前にも似たような事を書いたかも知れませんが、「日本の伝統の技術」とか「日本古来の文化」というのは、本当はある種の「ナマモノ」っぽい部分があるのだと思っています。

「日本古来の文化」になど興味も無かった中高生時代にはあまり深く考えたこともなく、何となく教科書の一節に出てくる干物みたいなものの様に感じていました。でも、よくよく考えてみれば今残っている「伝統」と呼ばれるものを作り始めた人たちは、それが「最先端」だったのです。最初から古典を作ろうとはしていなかったはずです。
今でこそビートルズはロックの古典のように言われていますが、最初からビートルズはよくできた古典だった訳ではなく、大勢の人に話題にされて結果的にレジェンドに変わっていったんだと思います。それと一緒じゃないかと思います。

欧米から入ってきた靴をそのまま履き続けるのも、様式美にまでなった呉服の一部としての履物に従うのも、決して間違いではないでしょう。でも、その一方で現在進行形の日本の履物というものを履くのは、それはとても良いことなんじゃないかと思うんです。今既にスタンダードになった物を使うことよりも、今「最先端」として進行中の日本の伝統を身につけることで、ほんの小さな一コマに過ぎないかも知れないけれど推し進める事ができるかな…と思ったりもします。

 

様式美全てを否定するつもりはさらさら無いんですが「これはこういうもの」「これはこうあるべき」という先入観や固定概念を一度横に置いといて、少しだけ自分が日常の中で使うものに対して考えてみる…というのは、実は髪をおっ立てたり鋲付き革ジャンを何も考えずに着ることより、よっぽどロックでパンクじゃないのか…と、オッサンながらに考えてみたりもします。

なんか堅苦しくなってきた…(´∀`;)

履いてみた感想ですが、こういう靴はおろかオーダー靴自体が初めてですのでオーダー靴として「これこれどうだ」と書くのは非常に恐縮ではありますが、楽なのにピタッとくっつく感じと言いましょうか、凄くフィットします(当たり前か…)。靴を履いていて足のどこにも無理を感じない、今まであまり味わったことのない感覚でした。

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SOU・SOU地下足袋も(特に日進ゴム製のレザー足袋)かなりフィット感があって好きなんですが、この靴にはそれとはまた少し違った良さがあると思います。今年の秋冬はヘビーローテションにしようと思っています。
メンテグッズ買わなきゃ。