以前ゲッチュしたソブリンのコート。いわゆるアルスターコートってヤツだと思います。結構古いもので、今のクラシック回帰トレンドをあっさりぶっ飛ばす様な、ドがつくほど正統派でクラシックなデザインです。

 


△友人いわく「トカレフ(拳銃)出しそう」とのこと

 

色は黒、素材はカシミア混ウールで、肩はがっつりパッドが入っていました。ゴージラインとか見ると今主流のものよりも少し低めで、ゆったり感のあるデザインです。丈も膝下くらいで結構長め。紳士服の歴史資料にでも出てきそう。一言でいうと「重厚」なコートです。

 

 

冠婚葬祭でもたいてい対応できそうな頼もしいコートなんですが、そのぶんだけ扱いが難しい…。ちょっと中にラフなジャケパンスタイルなんか合わせようものなら言いようのない違和感が…。

今はリバイバルでかゆったりしたサイズ感の丈も膝下くらいのロングコートが復活していますが、肩はアンコンに近かったりとモダンにアップデートされています。いくら丈が同じくらいだからといっても、そのままモダンに着こなすのは正直ハードル高いです…。

 

 

そこでお直しに定評のある「SARTO(サルト)神宮前店」さんにお邪魔してきました。

高級品・ブランド品のお直し専門店: SARTO

素人考えだと「丈を膝上くらいまでガッツリ詰めて、肩パッド無くしてアンコンにして、身幅つめれば良いだろ!」とか単純な発想をしてしまいがちですが、やはりバランスが大事なんですね。

こういう素人考えなお直しは、もちろん物理的には可能っちゃ可能なんですが、結果として良かった!と言える様な仕上がりになるかどうかは別問題。餅は餅屋、こういうのはプロの意見を聞くのが一番です。

 

相談の結果、もともとの良さは活かしつつ要所だけ修正してライトな仕上がりに近づけることに。

お直し内容としては以下の通り。
1:肩幅の調整
2:肩パッドの調整
3:着丈の調整

 

まず「1:肩幅の調整」ですが、このコートが販売されていた頃の時代もあってか、肩はやや大きめなつくりでした。私の肩幅には両方共1cm程度大きかったので、詰めることに。

次に「2:肩パッドの調整」。正統派っちゃ正統派なんですが、流石に今着るには肩がしっかりし過ぎていました。重くのしかかる様な着心地の原因でもあったので、肩パッドは薄いものに交換します。完全に肩パッドを抜いてしまうと、生地の特性上フニャフニャになって形を留めれなくなってしまうので薄いパッドを入れます。

 

最後に「3:着丈の調整」。着丈は気持ち的には使いやすい膝上5cmくらいにしたいところなんですが、ポケットや襟の位置が結構下に設定されているので、丈を短くしすぎるとポケットが異常に大きく見えたり、襟だけがやたら大きく見えてしまいます。着丈はギリギリの線で膝丈くらいに設定しました。

 

実は身幅も詰めてシャープにしようと思っていたんですが、肩を調整したところ身幅のゆったり感が気にならないくらいバランス良くなったので、そのままとしました。お直し代も安くなるしNE!

 

トータルのお値段は大体2.6万円くらい。そして待つこと約1ヶ月。

以下ビフォーアフターです。

 

なんということでs(略

見比べると随分軽快になったと思いませんか。

 

 

身幅は手を付けてないんですが、肩と裾が調整されただけで随分違って見えます。

 

特に変わったのはやはり肩。むしろ着丈より身幅より、この肩こそがあの重々しい印象の根源でした。スッキリと柔らかい表情になりました。

 

 

お直しする前は正統派スーツと黒い革靴しか受け付けない!ってくらい敷居の高さを感じましたが、お直し後はジャケパンでも問題ない位。

 

 

 

お直しは、単純にサイズ調整としての効果もありますが、服の隠れていた魅力を引き出す効果もあるように思います。なんせ唯一無二の品物になりますしね。眠っている服があったら、新品を一つ買った気持ちで持ち込んだら、意外と安価に良いものが手に入るかもしれません。

 

サルトさん、ありがとうございましたm(_ _)m