悩める夏の少年
By: Nicholas A. Tonelli

上京してから10年以上も経つのに、どうも東京の夏には慣れません。元々青森県という比較的夏が涼しい地域で育ったのもあるんでしょうが、どうも東京の夏はちょっと殺人級な気がするのです。

最高気温が33度とか天気予報で言ってますけど、あれって観測地点での話ですよね。もしかしたら場所によっては40度超えてるんじゃないでしょうか。うん。そうに違いない。

 

ところで川崎市の自宅の近所には「生田緑地」という市が運営する公園のようなものがありまして、これがなかなか良い場所です。天然のカーテンのような効果があるんでしょうか、木々が生い茂っていてやはり住宅地とかよりいくぶん涼しいんですよね。

日本各地の古民家を移築した民家園だとか、岡本太郎美術館があったりだとか、あのメガスターが設置されているプラネタリウムだとか、何気に結構充実しております。

 

 

そんな生田緑地を歩いていて「そういやガキの頃に親戚の家いくとこんな感じだったなぁ」とか思ったりします。三戸町という、私の地元八戸市と割と近い田舎町です。親戚はそこの町の某お寺でして、お寺の裏山は結構自然あふれる場所だったと記憶しています。

 

夏になるとそのお寺に遊びに行き、いとこたちと花火をやったりして遊びました。

毎年、花火をやるときは「パラシュート花火」というのが恒例になっていました。パラシュート花火というのは打ち上げると中からパラシュートが1つ2つ出て落ちてくるんですね。そのパラシュートを皆でキャッチするのです。

大人になると「なんであんなもの欲しがったのかな」と思いますが、当時はみんな本気で競い合ってパラシュートをキャッチしようと駆けまわりました。

 

いとこの中にはちょっと年上のN君というお兄さんがいて、現在はこのN君がお寺の住職をしてらっしゃるようです。N君は面倒見が良くて色んな事を教えてくれました。カブトムシとかを捕ってきてくれた様な記憶があります。

一緒に本堂で駆けっこをして、いとこも私の兄弟も揃って怒られた記憶も無いわけではありません(笑)

 

 

多分そのN君だったと思うんですが、結構有名なあの噂を教えてくれました。

N君「ミミズにオシッコかけるとちんk腫れるんだぜ」

まぁいわゆる迷信です。でも結構全国区ですよね、この都市伝説。

 

この都市伝説の真相を先にバラすと。ミミズが刺激を受けた際、外敵から身を守るために腫れや痒みを引き起こす分泌物を出すそうで、その分泌物が手についた状態でちんkを触ると腫れたりするようです。

しかし子供の頃はそんな科学的なプロセスなんぞ分かりませんから

「ミミズにオシッコかけるとちんk腫れる」

と理解するわけです。

 

 

いとこのお兄さんは優しくて物知りで、いつも「すごいなぁ」と思いながら話を聞いていたんですが、このミミズの都市伝説だけは子供心に「そんなことあるの?」と解せなかったんでしょうね。三泊四日くらいで訪れたいとこの家で、私はずっと都市伝説について悩み続けていました。

(本当なのか…それは…)

 

お寺には同い年のYちゃんという女の子のいとこがいて、その子と私はよく遊んでいたんですが、その都市伝説について悩んでる最中、私は様子がおかしかったようで

Yちゃん「あっちゃん(私)、どうしたの?」

と何度も聞かれたとおもいます。

 

私「ミミズってどうやってちんk腫らすんだろう」

Yちゃん「えっ」

という何ともマヌケなやりとりがあったのは言うまでもありません。

 

ついでに弟にも

私「ミミズはどうやってちんk腫らすと思う?」

弟「えっ」

とか聞いてたと思います。

 

私が夏休み中に悩んだ挙句、解釈したのはこんな感じ。

ちんkから発射された尿がミミズに触れた際、何かしらの方法でミミズから尿をつたい謎の物質が送り込まれている。

と考えたのです。

尿は水のトンネルのような状態で、ミミズから目に見えない何かがトンネルを通って送り込まれている…。尿がミミズにかかっている時間なんてそれほど長くはないでしょうから、かなりの速さで送り込まれているに違いありません。

まさしく暗殺者!

 

そして親戚宅での最終日。

私「わかったよ私」

Yちゃん「え?」

私「ミミズ、あいつは殺し屋だ!」

Yちゃん「何の話?」

私「…」

 

 

恐らくN君もYちゃんも覚えていない(覚えててほしくない)私の夏の思い出…。

 

 

えー、明日から伊豆に行って参ります。