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フリーランスウェブデザイナーArata-Atrasi-Takamiのブログ。服・靴・育児ときどき開発。

Monthly Archives: 2016年4月

SpaccaNeapolisのネクタイおかわりしました

  • 投稿日:2016/04/28

先日もご紹介したナポリの若きネクタイブランド「SpaccaNeapolis(スパッカナポリ)」ですが、あまりに良い感じだったので調子に乗って更に追加購入しました。オーナーのNicola(もはやお互い呼び捨て)とも仲良くさせてもらっていて、彼がビンテージ生地を買い付けに行くとメッセンジャーで写真を送ってきてくれます。

 

最初に購入したものはウール素材で秋冬向けだったので、これからの時期にも使えるオールシーズンなものを…という事で2本目はこちら。

ネップ感のあるシルク素材です。ネップ感があるのでコットンやリネン混のジャケットに合うのはもちろん、シルクならではの光沢感もあるので一般的な梳毛のスーツでもハマります。

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色は茶寄りで赤みのあるオレンジ色。
凄く綺麗な色なんですが、私に撮影技術がないために魅力が100%引き出せません。無念。

 

 

もちろんハンドメイドで、程よくふっくらとした質感で、適度に胸元のボリュームを演出します。普通のブロード生地の白シャツでも合うでしょうが、薄ブルーのシャンブレーシャツを合わせるのが個人的には好み。スーツがコットンやシアサッカー生地なら更に良さそうです。

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今回は小剣に私のイニシャルを入れてもらいました。イニシャルが入ってると自分のものだという感じがして良いですね。

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ナポリの新興ブランドの中にはビンテージ感を売りにしながら実はビンテージ柄をプリントした生地を使ってるだけ…なんてブランド(割と有名ブランドですが一応伏せときます)もあるらしいのですが、その点でSpaccaNeapolisはちゃんとビンテージ生地を買い付けているので誠実に感じます。現在販路が公式オンラインショップだけで種類・点数もそれほど多くないので常に気にいるものが見つかるとは限りませんが、大量生産で百貨店などに卸してないぶん中間マージンが上乗せされず、品質からすると割安感もあります。

SpaccaNeapolis公式オンラインショップ

 

タイ・ユア・タイとか割と近い雰囲気のあるブランドだと思いますが、いかんせんタイ・ユア・タイはなかなか高いですから買うのが大変です。SpaccaNeapolisは価格がぐっと低くなりますが、品質的に見劣りするとは感じません。

 

 

 

そして先日、また新しく注文したSpaccaNeapolisのネクタイが届きました。

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妻の目が心なしか吊り上がってる様に見えますがきっと気のせい…気のせい…。この新顔たちはまた次の機会にご紹介します。

 

 

(2016.5.20 追記)

今後展開していく上で商標上の兼ね合いからブランド名が「Spacca Napoli」から「Spacca Neapolis」に変わったそうです。Neapolisはラテン語Napoliのことだそう。製品自体は特に変わりないそうです。

 


反骨のボタンダウン

  • 投稿日:2016/04/27

本来はポロ競技をルーツとするスポーティなアイテムだからビジネスには合わないとか、ビジネスシーンも随分カジュアル化してるし市民権も得てるから大丈夫だとか、色んな意見が飛び交うボタンダウンシャツですが。私はしれっと仕事で着ています。ウェブ制作の仕事って基本ドレスコードゆるゆるですからね…弊社みたいにネクタイ着用な方が珍しいくらい。

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ボタンダウンシャツはポロ競技のシャツに着想を得て米・ブルックスブラザーズが製品化したと言われています。1950年代くらいのアメリカの名門私立大学の学生「アイビーリーガー」たちが好んでボタンダウンシャツを着ていたので、アイビースタイルの定番アイテムになっていますね。

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[出展] The Ivy Style Primer Gentleman’s Gazette/ 

 

 

調べてみると、アイビースタイルは単なるファッションの流行ではなく、その根底には当時のアイビーリーガーが抱いた「新しいアメリカ像」の様なものが投影されていた様です。

彼らアイビーリーガーというのは、将来のアメリカを牽引するものすごいエリートなわけです。そして彼らの多くは裕福な家庭に生まれ育った富裕層だったそうです。彼らの親は贅沢なオーダーメイドスーツに身を包んでいた様ですが、将来のアメリカに健康的なたくましさ・庶民性・清貧さを思い描いた彼らは既成品のジャケットを着用します。ラグビー等でガッチリ鍛え上げられたマッチョボディに既成品のジャケットを着るので、胸板で三つボタンの一番上が閉まらないのがカッコいいとされ、そこから段返り三つボタンに発展した…なんて話もあります。


アイビーリーガーは自分たちが有名私立大学出身であることを誇りに思っていた様で、大学のスポーツクラブの制服であるブレザーやら出身校を示すレジメンタルタイを好んで着用し、当然スポーツアイテムでもあるボタンダウンシャツが好まれたみたいです。
つまり、一種の反骨精神の現れなんですね。

 

 

 

ボタンダウンシャツはその他、60年代のロックミュージシャン等にも愛された様です。
ビートルズやモッズバンド達にはタブカラーシャツやラウンドカラーシャツなど様々なタイプのシャツが着られていた様ですが、その中にボタンダウンシャツもあった様です。

 

ビートルズのオフショット?っぽいのに写ってたりとか

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[出展] THE BEATLES / おちゃづけ2@カリフォルニア = ochazuke2@California =

 

The Whoもちょっと装飾性強いですけどボタンダウンシャツ着てます。

Various...Mandatory Credit: Photo by Harry Goodwin / Rex Features (257754l) The Who - Roger Daltrey, John Entwistle, Keith Moon and Pete Townshend - 1967 Various
[出展] The Who in talks for 60s TV show / Telegraph

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[出展] The Who announce 50th anniversary tour and plans to retire / NME.COM

 

清潔感溢れるエリートであるアイビーリーガーのスタイルからすると、60sUKロックミュージシャンたちは労働階級ならではの暴力性みたいなものが秘められているのですが、反骨という意味では似通う部分があるかも知れません。

 

 

 

その後、70年代後半から80年代にかけてロックミュージックがパンクロック・ハードロックが主流になるとTシャツになって、ボタンダウンシャツはロックの表舞台から姿を消す様に見えますが、スペシャルズやスタイル・カウンシルを率いるポール・ウェラーがボタンダウンシャツを着ています(スタカンは写真見つかりませんでした)。

スカバンドの代表格・スペシャルズ。

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[出展] FRED PERRY x THE SPECIALS 30TH ANNIVERSARY SHIRT / 安寧と怠惰

 

 

 

最初はスポーティアイテムの一つでしかなかったボタンダウンシャツですが、今ではファッション誌でこんな風にフィーチャーされたりすることも。カラーピンとかちょっとやり過ぎ感無くもないけど…まあいっか!

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[出展] MEN’S Ex 2016年5月号

 

 

 


東京五輪エンブレムとデザインのはなし

  • 投稿日:2016/04/26

最近は服ネタがずっと続いてましたが、ちょいとデザイナー的なお話。

 

「デザイン」というと、何を思い浮かべますでしょうか。

一般的には見た目の美術的な部分をイメージすることが多いと思います。この洋服のデザイン可愛いよね!とか、このサイトのデザインかっこいいね!とか。もちろんそれは全然間違っていなくて、視覚的な美観というのはデザインが持つ大きな役割の一つです。

それに加えてデザインには「設計」や「計画」の意味合いが含まれてくることがあります。というのも、デザインには「何かの目的を達成する」という役割があって、見た目を美しくしたりカッコよくしたりするのは、その役割を全うする上での一つの結果に過ぎなかったりします。

 

 

 

以前ちょっと話題になった「新宿エルタワー」の案内図デザイン。

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[出展] 新宿案内図改修案 / no rule, no theme, but bLog. by 渡邊明生

このデザインはピクトグラムを使用していてパッと見はすごく「カッコイイ」んですが、トイレに行こうと思った時にどの矢印サインに従えば良いのか分かりにくいんですね。

 

そしてこちらは居酒屋さんのメニュー札。

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[出展] お店紹介 / 立呑み処 おとくや

失礼ながら「カッコイイ」見た目ではないんですが、品名は黒・価格は赤の文字で同じレイアウトに統一して並べることで、すぐに品名・価格情報が分かるようになっています。更にいうと品目ごとに一つの札にすることで、その商品が終売になった場合に簡単に取り外したり他商品に入れ替えることが出来るようになっています。これは立派にデザインとして成立しているんですね。

 

このように、見た目の優美さとは別の部分でデザインが果たす役割があるということが分かるかと思います。

 

 

 

 

その上で、最近なにかと話題の東京オリンピックのエンブレム問題。
佐野氏のエンブレムは盗用疑惑が持ち上がったことで不採用となり、新しく野老(ところ)氏のエンブレムデザインが選出されました。私は野老氏のデザインを含めた最終候補4案だけ拝見しました。デザイナー的に「これかなー」と思ったのは、選出された野老氏のものでした。私の周りのプロデザイナーさんの多くも野老氏のものを支持しておりました。

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[出展] 東京五輪エンブレム、最終候補4作品が決定 / AdverTimes(アドタイ)

 

しかしネット上の反応を見ていると、どうも「野老氏の案だけは無い」という意見の方がかなりの数いらっしゃる様です。その方たちの意見の中には「プロデザイナーが見ると野老氏のものが良いっていうのが分からない」という旨の意見が多く散見されました。中にはデザイン業界の陰謀だ!とかワンダーな意見もありましたが…。
この辺にプロデザイナーとそうでない人と認識の溝があると思います。

 

 

 

前述のとおり、デザインには「役割」の部分が存在します。オリンピックのエンブレムの場合、大会自体の象徴的シンボルであると同時に、様々な場面での運用が想定されます。
例えば関係者のIDカードや名刺などの印刷物、看板やフラッグ、会場案内の記号などなど…。場合によっては陸上競技場のトラックだとかサッカーボール等にも微妙に改変するなどして流用されるかも知れません。なんせ象徴的シンボルですから…。

 

そうした様々な場面での運用を考えた時に、最終候補4案+佐野氏案を見たらどうでしょうか。見た目の優美さというのはどうしても個々人の主観が入ってきますが、設計・運用という部分でいくと自ずと絞られてくると思います。

 

 

例えば藤井智恵氏のD案は朝顔や菊を想起させる可愛らしさがあると思いますが、モノクロで運用した場合に成立するのか、小さな印刷物で細い線が維持できるのかどうか…という観点でいくと懸念事項が多いように思われます。B案は拡縮に耐えうるデザインではありますが、色彩を取り除いた場合・色覚異常を持つ方が見た時に伝わりやすいかというと難しいと思います。

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個人的に野老氏のA案がなければ後藤崇亜貴氏のC案だったのですが、一色で構成されたA案と比較すると運用しやすさでは少々劣るかなとも思います。佐野氏の案は個人的にはC案と同じくらいかなーという印象。めっちゃ上から目線ですいません…。

 

 

 

そういった観点で見ると、キングコング西野氏の発表したデザインはデザイナーの端くれ的には「無いなあ」と思わざるを得ません。流石に線が細すぎますよね。彼の作品はアートとしては評価されることがあるかもしれませんが、デザインとは別物になります。

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[出展] キンコン西野、新エンブレム提案「僕ならこうする」→「天才」だと話題に / HUFF POST TOKYO2020

 

 

 

付け加えて、上記でチラッとふれた「色覚異常」ですが、Adobe Photoshopをお持ちの方であれば「表示」メニューの中から「校正設定」で「P型(1型)色覚」「D型(2型)色覚」というシミュレート機能を使うことができます。お持ちの方は実際にやってみると分かりますが、B案・C案は赤と茶の部分の差異がほとんどなくなってしまいます。キングコング西野氏の案に至っては左右の蝶の色の差がほとんど判別できなくなります。
(他の方の制作物を勝手に改変しちゃうとアカンのでこのブログ上には掲載しません)

 

こういった、障害者や高齢者など様々な人に対応するデザインのことを「ユニバーサルデザイン」と呼ぶのですが、オリンピックは沢山の人が参加する祭典ですから当然この部分に配慮しなければいけません。色を使うな・単色にすべきとは言いませんが、ユニバーサルデザインとして成立できているかどうかというのはオリンピックエンブレムを決める上で大事な審査基準になるのではないでしょうか。

 

 

 

なんだか消去法的なことばっかり書いてますが、A案は日本の伝統柄でありつつ海外でもチェック柄として通用する市松模様を採用しており、かつ視認性・運用性も高いと思います。まあ…祭典のシンボルにしては若干地味な印象はありますけどね…(笑)

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[出展] 東京2020大会エンブレム / 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

 

 

 

私は選考委員でも関係者の親戚でも何でもない外野デザイナーですので、選考過程において巷で騒がれている様な不透明性があったかどうかについては全くわかりません。ただ一人のデザイナーとしてA〜D案・佐野案(ついでにキンコン西野案)をフラットに見た時に、野老氏のA案が選ばれたのはそれほど不自然には思いませんし、むしろA案だろうという考えです。

 

もし「A案に納得いかないんだけど、なんで?」という考えをお持ちの方が、上記の文章を読んで少しでも「一理あるかも」と思っていただけたら、世間のデザイナー達は救われます(笑)これだけ説明しても無茶苦茶な要求をするクライアントさn(自粛

 

 

 

 

まあデザインの好き嫌いはさておき。いい加減前に進まないと税金浪費しまくりっす。
2020年に何かいい仕事できる様になってたいなー!オリンピックのエンブレム制作以外で!