SOU・SOU×ユニクロ

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先日、私の好きなブランドSOU・SOUとユニクロのコラボレーションが発表されました。

SOU・SOU×UNIQLO / 一語一絵 SOU・SOUブログ

ユニクロの日本土産プロジェクト4月22日スタート / ユニクロ NEWS TOPICS

 

ユニクロとのコラボに割れた反応

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実は3月のSOU・SOU KYOTO 青山店オープニングレセプションの際に、SOU・SOUの若林社長から
「春夏にユニクロさんとコラボします」
という発表があったんですよね。ちょっと意外な組み合わせに、レセプション会場からは「えぇぇ~っ!?」というどよめきが起こったのを覚えています。

そのレセプション会場内もさることながら、ネット上のブログやSNS・SOU・SOUブログのコメント欄等では賛否入り乱れた様々な反応が見て取れました。

「ついにSOU・SOUが世界へ本格的にデビューするのか」
「今までSOU・SOUを知らなかった人に知ってもらえるかも」
「どんな商品が出るのか楽しみ!」

といった感じの肯定的な意見もあれば。

「何でユニクロと…全然コンセプトが違うじゃないか」
「あまりメジャーになるとファンが離れるんじゃないか」
「ユニクロなんて中国製じゃないか!」 

といった感じの否定的な意見もありました。

 

 

ユニクロというパートナーへの拒否反応

否定的な意見の中にはインディーズバンドがメジャーデビューして、何となく自分の手の届かない場所に行ってしまう寂しさ…みたいな、ある種の感傷的なものも含まれているとは思いますが、それ以上に「ユニクロ」という今回のパートナーに対しての色んな思いがあるのだと思います。

昨今、ネット上ではユニクロに対する辛辣な評価が多く見られます。

「品質が大して良くない」「デザインがカッコ悪い」「着ていると被って恥ずかしい」といった以前からあるような商品そのものに対しての意見はもちろんですが、それと同じかそれ以上に言われているのが

  • ブラック企業である
  • 売国奴である

という二つの意見じゃないでしょうか。

ユニクロの離職率は5割超などと言われており、その労働環境に対してはかなりの批判があります。そのせいか現在はブラック企業の代表格の様に扱われています。

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他にも離職率が高い企業・業界は存在しますし、恐らくユニクロどころではない環境の企業も数多く存在すると推察されますが、ユニクロという企業の特性といいますか、特に目立って感じられるのでしょう。

 

「売国奴」と呼ばれる事については、2012年の夏ごろに尖閣諸島の領有権を巡った問題を発端に中国各所で「反日デモ」が起こった際に、上海のユニクロ店舗で

「支持釣魚島是中国固有領土」
訳:魚釣島(中国での尖閣諸島の呼称)は中国固有の領土であることを支持する

という張り紙をしたことが話題となり、それまでにも尖閣諸島付近で日本の巡視船と中国籍の不審船が衝突する事件が起こっていたことも重なって、ユニクロに対して一気に「国賊」扱いするような動きが出てきたと思います。

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ちなみに、この上海店舗の件についてはオフィシャルのコメントが出ています。
上海のユニクロ店舗における、尖閣問題に関する掲示物の件につきまして

 

実際にブラック企業なのかとか、売国行為を働いているのかは置いといて、ただでさえ「安かろう悪かろう」的な印象が強い上に、そういったブラックなイメージがつきまとっていたので、国産にこだわり品質保持に積極的なSOU・SOUの商品のファンの方の中には、ひどく拒否感を持った方もいたのだと思います。

あとは…何気にユニクロとデザイナーズブランドのコラボってあんまりパッとしないというか…結構コケてる事もあるんですよねwww

 

 

結局は知ってもらわないと意味が無い

まぁ上記のように否定的な意見も結構聞こえてくる訳ですが…。
個人的に今回のSOU・SOU×ユニクロのコラボレーションは、「SOU・SOUにとっては」良い機会になるんじゃないかなーと勝手に(上から目線で)思ってます。

SOU・SOUで扱っている主要アイテムの中に伊勢木綿という伝統的な製法で作られた綿素材のシリーズがあります。100年前のトヨタ式織機で織られるその綿は、強く撚りをかけずに綿(わた)に近い状態でゆっくりと織っていくため、非常に柔らかく、一般的な綿は洗えば硬くなるのに対して洗えば洗うほど柔らかく風合いを増していくという特性がある布地です。
SOU・SOUの若林社長が同社のテキスタイルデザイナー脇阪克二氏に紹介されて伊勢木綿と出会った時、直感的に「これは良い物だ」と思ったそうです。

しかし、伊勢木綿は他の伝統工芸等と同じく「後継者不足」「売上減」という悩みを抱えたものだったそうです。その大きな理由の一つが「知名度不足」で、何しろ周りの地元の人ですらその存在を認知できていないほどだったのだとか。

 

伊勢木綿や和服に限った話ではないのですが、結局のところ知ってもらって実際に使ってもらわないと、どこまで行っても先細りになるんです。例えそれがどんなに素晴らしい技術だったとしても…です。それは現在の和服が置かれている状況から証明されているんじゃないでしょうか。

これって自治体のサービスなんかでも同じで、どんなに素晴らしいサービスを提供していても、PRして認知させていかないと無意味なんですね。
私の娘が生まれた時の話になりますが、自治体が医療費関連の援助をしてくれるんです。それを知ったのはママ友さんから…。その数日前に同じ担当窓口で別の手続きをしているのに…ですよ?子供の医療費の助成制度なんて、一般的に言って使うに決まってるじゃないですか…。それなのに担当窓口では一言の説明も無く、目立たないパンフレットを数枚おいてあるだけ…(なんか愚痴っぽくなってきたw)。

「広報活動の大切さ」というのを思い知らされます。

よく「失われていく伝統の技術」みたいな事をメディアがことさら美化して取り上げたりして、その都度安くて品質の悪い海外製品が悪いような話にもっていったりする話を見聞きすることがありますが、100%とは言わないまでも結局のところそういった戦略的な広報活動が不足している部分も大いにあると思うのですね。

 

 

ユニクロとのコラボで知名度アップ?

最終的に国内産業にスポットを当てるために、様々な批判はあれど現状アパレル業界で最も海外進出をしていて知名度もあるユニクロとコラボレーションをするというのは、SOU・SOUにとっては例え企画自体がコケても何かしら残るものがあるんじゃないかと思うのです。

夏にはステテコ等のルームウェアを出すようですし、ファッションの主要アイテムとしては使いにくいユニクロも、ルームウェアや下着・雑貨なら割と手を出しやすいと思います。
というか、ユニクロに求められてるのっていわゆるH&Mみたいなトレンドバリバリのファストファッション的な魅力じゃなく、ブランドなんぞどうでもいい様な定番アイテムを安く買えるとこじゃないかと思うんですけど…w

SOU・SOU×ユニクロ製品を買った人のうち1%でもSOU・SOUに興味を持って、SOU・SOUの地下足袋を買えば…。それだけで廃業せざるを得なかった埼玉県行田市の国産地下足袋製造メーカー「まるそう産業」のような例が減るのです。

 

 

伝統を守るということ

「日本の伝統を守る」ということを、時々「外来種を排する」とか「何が何でも全て古いまま残す」という事と勘違いされている方がいらっしゃると思うのです。
外来種を排除して日本の伝統を温室に入れてその場をしのいでも、戦い抜く力を育てなければ次に外来種が来た時にまた同じ事を繰り返さなければなりません。

ミッシェルガンエレファントの誰か(クハラだったかな?)が言っていたような気がしますが

「味が変わらないということは変わるということだからね、結局水は変わるから」

という言葉を思い出します。

地下足袋をそれまでのただの作業靴として守るのではなく、機能性を兼ね備えた日本製オリジナルスニーカーとしてアプローチしたSOU・SOUのように、結局変わっていかないと「変わらない」ことは無理だな…と。
「留めておく」という事も大事ですが、それと同時に「続きを作っていく」とい事が凄く重要なんじゃないかと思うのですね。

SOU・SOUファンの方の中にはひどく落胆された方もいらっしゃるようですが、新しいSOU・SOU仲間が増えるかも知れない…とプラス思考で見守ってみてはどうかなーと、個人的には考えます。

 

 

逆にユニクロにとっては…どうなんでしょうw

企画は「海外の友人に日本土産を」というコンセプトらしいですが…そんなに海外旅行でユニクロ買ってく人いるかな…。円安傾向で海外渡航も減るかも知れないし、そもそも海外旅行に行く人ってそこそこ金持っててユニクロとかあんま見向きしないんじゃ…とか思ってしまうんですがどうでしょう。
きっとユニクロも企業体質やジレンマと戦いながら脱皮したいのだと思います。それこそオンワードやワールドなんかと同じように。