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フリーランスウェブデザイナーArata-Atrasi-Takamiのブログ。服・靴・育児ときどき開発。

Tag Archives: 新興宗教

俺が出会ったブラック企業

  • 投稿日:2013/08/05

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このブログに引っ越してくる前に使っていたライブドアブログにも書いたんですが。その昔、就職活動をしていて割とレアと思われる体験をしたことがあります。そのレア度のあまり、話すたびにちょっとした鉄板ネタと化している話です。

昨今では「残業が多い」「人間関係が悪い」「あまりに薄給」など、あまり好ましくないと言われる労働環境がある企業のことを「ブラック企業」なんて呼んだりします。よくネット上で槍玉に挙げられるのは、ユニクロやワタミなどでしょうか。実際のとこどうなのかってのは別として。

これから書く話は、残業が多い程度ではブラックなんて思わなくなってしまうんじゃないかというくらい、ちょっと特殊なブラック企業話になります。
これは脚色などない私が実際に身を持って体験した「実話」で、ネタでも何でもありません。

 

 

 

 

200x年、ハローワークの求人情報の中から見つけ、数日間だけ働いた小さな企業。名前は株式会社Y。仙川駅が最寄りのカラオケや飲食店を運営する会社でした(住所は三鷹市)。
朝礼で毎回社長さんがデッカい声で社訓やらスローガンを読み上げたりするのが面倒でしたが、周りの人は基本的に優しそうだし、小さいながらも家族的な雰囲気でした。

 

気付くと、他の社員の方々の衿には同じ印のバッヂがありました。

「あぁ、きっとアレが社員証なんだな」

きっと試用期間が終わったら渡されるのだろう、付け忘れないように気をつけなくては。
そう思っていました。この時は。

働き始めて三日目、二人の新人さんが入ってきました。5歳ほど年上の男性のAさんと、大学卒業直後の女性Bさん。思ってもみなかった同期の人の入社で少しテンションも上がり、三人で色々と話しました。

 

働き始めて五日目の金曜日。この日は現場の飲食店に新しく入ってきた方々も一緒に会議室に集められ、色々と仕事に臨む際の精神論の様なものを聞かされました。その後「とある機関」に研修に行くと告げられます。どういうところかはよくわかりませんでしたが、皆でゾロゾロと電車を乗り継いで行きました。

By: OiMax

そして着いた駅から数分程歩いて目的地に到着。かなり大きな建物が目の前にありました。その建物の屋根やら門には見覚えのあるマークが…。

社員証…?

あのマークと同じものが至る所にあったのです。どいうことかは分かりませんでしたが、会社と関係の深い施設であることは間違いありません。誘導されるがままに建物に入ると、簡単な受付の様なものを済ませ広い講堂へ。そこには沢山の家族連れや老夫婦、若いカップルなどがいました。

(なんだここ…?)

そう思いながら講堂の真ん中に設置された椅子に座らされます。講堂の奥にある壇上では何だか偉い人らしき男性がずっとマイクを通して説法のような話をしています。講堂にいる人々はリラックスした様子でしたが、まじめにその話に耳を傾けている様です。
しばらく訳の分からない説法を聞いていましたが、説法がひと段落すると壇上の男がこう話し始めました。

 

男「では今日入信される方々です」

!?

 

何となく雰囲気は察していましたが、やはりここは宗教団体の施設の様です。
そしてその「入信される方」の中に、私やAさんBさんの名前が…。

これはおかしい

そう思った三人は筆談でやり取り、とにかくこの会社から逃げようという事になったのです。

 

説法が終わって会社の引率者の人が私たちに「入信しますよね?」という感じで聞いてきました。現場飲食店に新しく入った方々は皆口を揃えて「はい」と答えました。今思えば我々を引き込むための仕込みだったんでしょうか。

私とAさんBさんの三人の答えは当然NO。
すると三人バラバラに連れていかれ、講堂の片隅にあるスペースに座らされました。連れて行く宗教団体の人たちが不思議そうな顔一つ見せなかったのは、おそらく手慣れているんでしょう。

 

連れていかれたスペースには椅子が三つ向かい合う様に並べられており、そのうちの一つに座らされました。程なくして残り二つの座席に、いかにも「優しい人」という雰囲気の中年女性と、ちょっと露出多めの若い女性がそれぞれ座りました。私を引きこもうというのか色々話しかけてきます。

中年女性と露出多めの女性という組み合わせは気を利かせまくったハニートラップなんでしょうか。その真意は分かりかねますが…。

 

会話の内容は全ては覚えていませんが、世間話みたいなものと信心についてを行ったり来たりする感じでした。私がまるで信心なんてものも持ちあわせていなければ、宗教概念の希薄な人間で全く入信するつもりが無いことを伝えても、まるで向こうには通じていないようでした。
まさしく「馬の耳に念仏」。宗教概念の希薄な私が「馬に向かって念仏」とは何とシュールな表現でしょうか。

 

もう埒があかないと思った私は、自分には信じるものがある、だから邪魔をするなという方向で話すことにしました。

私「60年代のモッズと呼ばれた青年たちはですね…」

今、正気な私からすれば自分でも何を言ってるんだと思いました。いや、当時の自分でも頭のなかで何言ってんだと思っていたと思います。女性二人の目はもう完全に点になっていました。しかし、裏を返せば効果てきめんということです。私はこの方向で一気にたたみ掛けることにしました。

私「ベスパと別にランブレッタというスクーターがありまして…」

 

なんでしょう、信心の話をしていたはずがスクーター。そりゃブッダもキリストも漫画になるわけです。しかしこんなモノでは逃げれるとは思えません。

私「The Whoはモッズと言われていますが、1st以外は割とその後のHRにつながる…」

もう私のモードは完全にライブ後の打ち上げ会場にいるバンドマンです。あのバンドがどうとかアレは良いとか悪いとか、バンドマンが酔っ払うとよくやる正解の出ない堂々巡りな話題です。打ち上げについてきた音楽に詳しくないファンが完全に行き場を失うアレです。

 

しかし、そんな話に付き合いきれないと思ったのか、女性も反撃とばかりに話を食い込ませてきました。

女性「そのモッズ?も信心が形成する文化の一つで…」

多分、女性自身も何言いたいのかわかってなかったでしょう。恐らくバンドとかロックなんてものとは無縁で過ごしてきたに違いない女性が、その数十年の人生史の中で初めて「モッズ」と発音しているのです。もしかしたらさっきの説法してた男よりも私のほうがこの女性の人生にとってセンセーショナルだったかも知れません。

 

私もそんな反撃を許すわけにはいきません。

私「ジョンはモッズでもロッカーでもなくモッカーなんすよ!(キリッ」

女性は「ジョンって誰やねん?」と思っていたに違いありません。もしここで「ジョン」ではなく「ジョン・レノン」と言っていたら、また話が迷宮へと迷い込んでいたかも知れません。くわばらくわばら。
もうこれで諦めるだろ…と思いきや、女性も「そのジョンさんが…」と乗っかってこようとしてきました。しぶとい。マジしぶとい。

私「ピートは児童ポルノで逮捕されたんですよ!」

もし「ポール」と言っていたら「ははーん、ジョンとポール…つまりビートルズね!」と気づかれたかも知れませんが、ここでTheWhoに戻したのが正解です。ピート・タウンゼントには可哀想ですが。

もう意味不明すぎたのか女性も次第に呆れ顔に…。もう私を引き入れようと言うよりは、なんか手に負えないバカという感じで見ていました。なんか哀れみをこめた視線過ぎて「そんな目で見るなや!」と少し思いましたが、ここはむしろ手に負えない感があったほうが良いだろうとグッと飲み込みました。

そろそろ私もトドメです。

私「SEX、ドラッグ、ロックンロール!シェキナベイベー!」

女性「は…それうt」

私「お前は内田裕也か!」

女性「…え」

自分ボケ・自分ツッコミ。猛スピードで駆け抜け女性を置いてきぼりにしました。
コースアウトですが

 

 

正直いうと「シェキナベイベー!」の時に講堂内に軽く残響があるほど思いのほか大きな声が出てしまって、周りの
( ゚д゚)
という顔に若干恥ずかしさを感じました。もう人生できっと一度きりです。こんなの。

 

こういう会話として成立しない時間を小一時間ほど続けたお陰で、女性たちは諦めたようで開放されました。内心、奥から白い三角頭巾かぶった連中が出てきて拉致監禁されないか不安でしたが、流石に宗教団体的にも

真性キ○ガイはいらん

ということでしょうか、拉致されませんでした。
露出多めのネーチャンの「アッハ〜ン」な事も皆無です。パンツは履いていただいて結構です。

 

 

AさんBさんも上手いこと切り抜けたようで、会社からも帰っていいよと言われて三人ともすぐさま逃げ帰りました。もちろん、その会社は電話で「やめます」と伝えてそれっきりです。向こうから連絡もとってきません。しばらくは気が気じゃなかったですけどね。

こんなこともあったせいで私の宗教アレルギーも悪化したわけですが、私自身はこの宗教団体の信者の方々を否定したり、信仰心を持つ方を蔑むような気持ちは微塵もありません。日本は信仰の自由が保証された国ですから、それは各個人が当然のように保有している人権だと思います。
だけども不況の中で職探しをしている人の気持を利用して、無理やり入信させようというやり方には心底気分が悪いです。

サービス残業常態化も低賃金もパワハラも嫌だけど、自分の信仰心を他人にどうこうされるのはまっぴらですね。

 

 

 

さて、その後の話ですが。風のうわさによると、そのYという会社の社長だったデカイ声のおっさん。今から5年ほど前にうなぎの産地偽装をやってたのがバレたらしく首くくって自○したらしいです…。

 

(゚∀゚;)