前回書いた靴がカジュアル感丸出しなローファーだったので、今回はもうちょいビジネス寄りです。
今回の靴はこちら。ユニバーサルランゲージ別注のユニオンインペリアル製ダブルモンクです。
仕事の時に一番登板率が高いのはこの靴かも知れません。
革はフランスのアノネイ社のボックスカーフレザー。他の黒靴にはサフィールノワールクレム1925というクリームを使っていますが、この靴だけ何となく青系(サフィールは赤系)のイングリッシュギルドを使って仕上げています。もしかしたら同じフランス製同士でサフィールの方が良いのかも知れませんが…。
ユニオンインペリアルは1952年創業のユニオン製靴が前身のユニオン・ロイヤルのブランドです。あのコンドームで有名なオカモトグループのグループ会社です。このユニオンインペリアルは「ボロネーゼ式グッドイヤーウェルト製法」などの高度な技術を持っており、底面の半カラス仕上げ等を見ると「色気が無い」なんて言われたりすることもある国産靴ブランドの中では、なかなか綺麗な靴を作るブランドなんじゃないか、と個人的に思っております。
底面の仕上げがとっても綺麗です。今は削れてしまって見る影も無いですが…。
実はユニオンインペリアルのオリジナル商品(プレステージ)はどうも足を入れたときの微妙な違和感が拭えず、私の足とは相性が悪いのかなあ…と諦めていたのですが、青山商事が展開するユニバーサルランゲージが別注したこのモデルは、足を入れた時に「おっ」と思うものがあったんですね。それでも最初に馴染むまでは当然少し苦しい感じがあるんですが、それを差し引いても足入れした段階で良い感触があったのでした。聞けばオリジナルのプレステージラインとはまた別の木型を使った特別仕様なのだそうです。
UNION ROYAL・ハンドソーン ダブルモンクストラップシューズ / ザ・スーツカンパニー×ユニバーサルランゲージ公式通販
ハンドソーンウェルテッド(グッドイヤーウェルト製法と違ってリブを使わない)ですので、比較的返りがよく履き心地もソフトで気に入っております。ラウンドトゥでオーソドックスな雰囲気ですが、丁度いいシャープさがあってモダンでもあります。
唯一紐靴じゃない靴でビジネスやフォーマルに使えるとか、逆にバックルがキザ過ぎてダメだとか、ダブルモンクについては色んな意見がありますが。慣れれば片手でストラップを外して脱ぎ履きできますし、座敷文化のある日本のビジネスシーンには結構合ってる靴なんじゃないかなーと思っております。ベルトの根元がゴムのものならバックルを外さなくても脱ぎ履きできるかも知れませんね(私はゴムが緩みそうでやりませんが…)。スーツでもジャケパンでも、なんならカジュアルでもハマってしまう守備範囲の広さもダブルモンクの良いところだと思います。
ユニオンインペリアルがシューズショップ・トレーディングポストとコラボレーションした「ソフィス&ソリッド」というブランドがあるんですが、トレーディングポストが30周年を迎えた記念に発表した「S030」というホールカットシューズが雑誌「THE RAKE」に掲載されておりました。
[出展] THE RAKE JAPAN 40P
ホールカットはアッパー部分を一枚の革で仕上げるもので、傷等のない革を選び綺麗に仕上げる技術が必要なデザインです。一般的なホールカットはカカト部分に革を縫い合わせる部分が来るのですが、このS030にはカカトにもどこにも縫い合わせた部分が無いのです。フチの部分以外ツルッとしております。凄い技術ですね。
一枚革といえばジョン・ロブのチャペルというダブルモンクも、ぐるっとリンゴの皮のように巻きつけて一枚革でダブルモンクシューズを作っています。こちらもとっても芸術的。お値段は張りますが…いつかは手に入れたい一足です。